鞍は <工芸品・芸術・鞍>

人や荷物を動物の背に乗せるときに使う道具。

鞍の発明によって、動物体と人体や荷物との直接の摩擦を避けることができるようになった。

日本語の鞍は人や物を乗せる座の意味である。

人類は鞍を発明する前は、動物の背に、布、毛、毛皮などを敷いて使用していた。

紀元前6~前3世紀のアルタイ地方古墳出土の鞍は、よくなめした革やフェルトが用いられ、なかにはトナカイの毛を用いたものもあった。

鞍という文字も革が用いられている。鞍には乗用、荷用、牽引用がある。

鞍のなかで改良にもっとも力が注がれたのは乗馬用のもので、それに準じて他の用途のものも改良されている。

洋鞍、和鞍、唐鞍など多くの種類があるが、現在は一般に洋鞍が用いられている。

洋鞍は、鞍骨、騎坐、鞍褥と、それに付属して鐙革、障泥などがついている。

鞍骨は前橋、居木、後橋からできている。

鞍は、木、革、獣毛、布などの材料でつくられる。

洋鞍は国によっていろいろの型がある。

和鞍はわが国に渡来した唐鞍などを改良したものである。

わが国には古墳時代に、中国や朝鮮半島から、前・後輪垂直鞍が渡来している。

この鞍は本来、西アジアでは婦人用であったが、わが国で輪鐙から壺鐙、舌長鐙へと鐙の変化とともに、後輪も傾斜して和鞍となったとされている。

古書の用語に従えば和鞍の鞍橋は前輪、居木、後輪からなり、木製で、その上に漆を塗り、金銀、貝などの細工がしてある。

平安時代から江戸時代まで優れた装飾の鞍や鐙が製作されており、現代では世界的に優れた美術工芸品としての価値が高い。

ウマの背に布を置き、その上に鞍褥を置き、その上に鞍橋を置く。

長野県伊那谷では、この輸送法を「中馬」とよび、大正末期まで存続していた。

中馬では鞍褥を「しと」とよんでいた。

種々の道具をウマに引かせるとき、胴引き法や肩引き胴引き併用法の場合に、ウマの背に小形の鞍を用いる。

鞍にはウシ用やラクダ用もある。
update:2010年03月16日